上海の麺専門店特集

おしゃれグルメを満喫する上でも麺料理は必須。高級店から各地麺料理の人気店まで、上海の麺料理は多種多様です。今回はそれら代表として3店紹介。いずれも昨今の上海とそのグルメ嗜好を象徴する麺料理専門店です。

上海のこれから、秋冬と言えば上海蟹。星の数程ある中華麺専門店の中でも、ひと際異彩を放つ高級店が上海蟹麺専門店「Cejerdary 蟹家大院」です。創業は2015年秋と比較的最近。以来、店内に掲示のメニューは3品のみ。かつほとんどの訪問客が「蟹黄金」と名付けられた最高級版を注文します。一杯360元、麺の上に何重にも敷き詰められた上海蟹は文字通り黄金の輝き。一杯の中に12尾分の上海蟹が使用されています。皮むき等、上海蟹の処理は朝から数人掛かり。厨房にて全て手作業で行われます。

創始者は敬虔な仏教徒である徐净氏。物欲と唯物論が優先される現代の上海において、全ての煩悩を忘れて味わえる麺料理の在り方を追求。そんな悟りの意味合いを込めて戴く「蟹黄金」はまさに上海ならでは、贅沢の極みです。




看板メニューかつ代表作の「蟹黄金」360元。好みの飲料を好きなだけ選択、付け合わせに籠いっぱいの落花生が提供されます。廉価版は準備の皿数も限られており、遅い時間帯には品切れになります。木材で構成された店内空間も広々、外滩の新しい方の店舗です。


こちらは元祖、凯旋店。店先にて順番を待ちます。「蟹家大院」の発音を英単語的に綴ったのが「Cejerdary」です。英語圏の来訪者がそのまま読むと中国語店名の発音に近くなるという意図で名付けられています。

Cejerdary 蟹家大院
外滩店
電話番号: 021 6969 7777
住所: 上海市黄浦区广东路59号

凯旋店
電話番号: 021 5230 0008
住所: 上海市长宁区凯旋路1266号

二品目は恐らく全国規模で最も名の通った上海麺料理の一つ、「味香斋」の「麻酱面」です。2016年9月20日、中国初上陸となった「ミシュランガイド上海 2017」の推薦店として掲載決定。地元でも話題再熱、海外でも一気に知名度を獲得する事になります。

麻酱面自体は主に中国北側で楽しまれるごく一般的な中華麺。ここでの違いは長きに渡り受け継がれてきた秘伝のレシピと製法、歴史の重みです。「味香斋」の前身は1935年開業のコーヒー店。当時「西冷咖啡馆」と名付けられた店舗では各種麺類も提供。その後「向阳饮食店」と名称変更、80年代前半に現在の「味香斋」となります。その間を経て守り続けられたのが麻酱面のレシピと製法。親世代が幼少の頃に楽しんだ味を子供に楽しませるという形で伝統が受け継がれています。

麻酱には同じく伝統料理の炸猪排、上海式豚カツを揚げたビーナッツ油を流用。更にテーブルに出される直前、特製の肉汁を一掛け。ほのかな香りと共にコクのある味わいです。37平米に11卓40席が密集する小規模な店内。まずは入口で食券を購入、座席にて待ちます。麻酱面は是非ともカレー味が人気の小牛汤と共に。



淮海路から雁荡路を斜め南に入ってすぐの右側に立地。最寄りの地下鉄「黄陂南路」駅、あるいは一つ先の「陕西南路」駅からも共に徒歩圏内です。2019年8月時点で「麻酱面」11元、「小牛汤」10元。麻酱面はここの所、数年毎に1元ずつ値上げの模様です。

味香斋
電話番号: 021 6482 8236
住所: 上海市卢湾区雁荡路14号

続いては上海地元の特産麺料理「开洋葱油拌面」の名店「东泰祥生煎馆」です。「开洋葱油拌面」の具材は「开洋」と葱。「开洋」は「虾皮」の吴语で干し海老。これらを炒めたものをソース和えの麺に乗せた簡素な麺料理となります。

「东泰祥生煎馆」はその名の通り「生煎」焼き小籠包の老舗店。2015年よりその伝統的な製法が「非物质文化遗产」として保護対象となっている程の名門です。と同時に、隠れた絶品として名高いのがここの「开洋葱油拌面」です。こしのある麺、海老の香りとパリッとした葱の食感で地元から厚い支持を集めます。特に重庆北路店は24時間営業。一度目の来店時には伝統の「生煎」を満喫、二度目は「开洋葱油拌面」と色々な形で楽しめる定番人気店です。



「开洋葱油拌面」は「蛋皮汤」付きで14元。「虾肉生煎」は4個14元、「特色生煎」9元。以上、2019年8月時点。時々、値上げがあります。

东泰祥生煎馆 重庆北路店
電話番号: 021 6359 5808
住所: 上海市黄浦区重庆北路188号

以上の三店三品が今回特集の紹介内容となります。最後に一店、追記として伝説の名店「长脚汤面」について記録を残しておきます。最終営業日は2019年2月10日の初六、惜しまれつつその30年に及ぶ歴史は幕を閉じています。「长脚」の名称は長身の老板すなわち店主の愛称から。メニューは基本的に「青菜肉丝汤面」一品、50元。辛さの程度と共に必要に応じて60元あるいは70元への増量を注文します。13平米5卓の店舗は住居の一部、厨房は軒先。地下鉄「老西门」駅からは徒歩で5分程度。肇周路から「弄堂」様式の小さな路地を入ったその奥、「长脚汤面」の立て看板を目印に探します。夜遅く21時半を待ってようやく開店、今や幻となった一品に辿り着きます。かつ1日70食限定、支払いは遂に最終日まで現金のみが貫かれてました。今回は肇周路の移転解体に伴い、引退をご決意。上海の名店がまた一つ、伝説として語り継がれていく事になりました。




休業日であったり、何度訪れても辿り着くまで迷った秘密の立地。写真が今や幻となった逸品「青菜肉丝汤面」です。

长脚汤面
旧住所: 肇周路166弄弄堂里
※ 2019年2月10日閉店

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