云南省茶旅特集 中編

云南省茶旅特集 前編」に次ぐ第二回目の掲載。ここからは云南省普洱茶の「新六大茶山」を中心に紹介を進めさせて戴ければと存じます。

云南省「新六大茶山」を構成するのは「南糯(Nánnuò)」「南峤(Nánjiào)」「勐宋(Měngsòng)」「布朗(Bùlǎng)」「巴达(Bādá)」「景迈(Jǐngmài)」の六茶山。いずれも云南省の南西部、ミャンマー及びラオスとも隣接する地域となります。古樹茶園が位置するのは海抜1,200~1,800メートル、年間降雨量も1,200~1,400ミリメートルと十分。一年を通じて快適な気候かつ年中霧に覆われた茶葉の栽培に理想的な環境です。景迈山以外はいずれも「云南省西双版纳傣族自治州勐海县」内、景迈山は「云南省普洱市澜沧拉祜族自治县」となります。

各「古六大茶山」の名称が最初に記録されたとされるのが、檀萃氏の著書『滇海虞衡志』の第11巻。1799年に全13巻完成、清朝乾隆帝時代の書物の一節です。これに対し「新六大茶山」は1949年の建国期に命名中国茶の生産地として「古六大茶山」が一時衰退する1900年頃、メコン川西側に相当するこれら地域が台頭します。1938年には南糯山に旧思普区の茶葉試験場設立、これを機に勐海における中国茶生産が本格化します。試験場は後に「佛海茶厂」「西双版纳茶厂」「勐海茶厂」と数回に渡り名称を変更。1950年には茶葉の生産と流通が専売制になると共に「中国茶公司」の一部として国有化されます。

3. 布朗(Bùlǎng)山と贺开(Hèkāi)

「新六大茶山」最南端の茶山が布朗山。国境を越えるとそこはミャンマーです。東部「老班章自然村」の老班章(Lǎobānzhāng)を筆頭に老曼峨(Lǎomàné)、新班章(Xīnbānzhāng)、あるいは西南部「新龙村」の曼新龙(Mànxīnlóng)と言った一連の著名茶区が「西双版纳傣族自治州勐海县布朗山乡」に属します。

行政区画としての「布朗山乡」は総面積1,016平方メートル。28,005亩、1,867ヘクタールの茶園から年間1,500~2,000トンの茶葉が生産されます。人口22,350名中、7割弱を占めるのが布朗族。老班章と新班章では哈尼(Hāní)族、老曼峨と曼新龙では布朗(Bùlǎng)族によりそれぞれ茶葉が栽培されています。気候は南亜熱帯、1年の平均気温摂氏18~21度。豊富な日射量と共に降雨量も年間1,374ミリメートルと十分。云南省普洱茶の中でも最も強いと表現されるのが布朗茶、布朗山で生産される生普洱茶の特徴です。

この布朗山乡のほぼ真北、市街地寄りに位置するのが贺开村。勐海の中心部から約25~30キロメートル、後半は大方未舗装道。車で30分~1時間程度の距離となります。行政区画上「云南省西双版纳傣族自治州勐海县勐混镇贺开村」となる村の人口は4,060人。茶葉はその6割弱を占める拉祜(Lāhù)族により栽培されています。尚、残り2割半は傣(Dǎi)族との人口構成です。



海抜1,400~1,700メートルに位置「贺开古茶山」の入口。土壌は肥沃な赤土。面積8,010亩の古樹茶園には樹齢100年以上の古樹が連なります。



背の高い木では枝と枝との間に足を掛けて茶摘みがなされます。今回は「贺开古茶山」近く「贺开村委会曼迈(Mànmài)村小组」の工場を訪問。写真は今年の贺开村の新茶、相場は一斤500グラム1,500元です。細長い形状が茶葉の特徴。茶湯は明るい黄金色、ほのかに澄んだ香りに解毒効果の感じられる新茶です。布朗茶は苦さがあるため100度に沸騰した「开水(Kāishuǐ)」で素早く「泡茶(Pàochá)」されるのが一般的。布朗茶の中でも特に高価な老班章は苦みの奥に甘さがあるのが特徴になります。

布朗山は老班章や老曼峨等、狭義にはその名の通り「西双版纳傣族自治州勐海县布朗山乡」に属する茶山。広義には贺开、あるいは班盆(Bānpén)といった近隣茶山を含む総称となります。

贺开古茶山
云南省西双版纳傣族自治州勐海县勐混镇贺开村委会

4. 南糯(Nánnuò)山の半坡(Bànpō)老寨

「新六大茶山」の中でも特に知名度の高い南糯山。茶山の平均海抜は1,400メートル。1年の平均気温は摂氏16~18度、年間降雨量は1,500~1,750ミリメートルと潤沢。古樹茶園の規模は1.2万亩と勐海县内でも最大級です。勐海の市街地からは国道G214西景线を東にほぼ一直線に約26キロメートル。幹線道路となる国道からも近く、比較的訪問しやすい茶山でもあります。

南糯山の位置する「云南省西双版纳傣族自治州勐海县格朗和哈尼族乡」はその名の通り哈尼(Hāní)族の居住区。人口の17,108名の87%を哈尼族が占めます。代表的な茶区は半坡老寨。海抜1,600メートル、全27戸100人程の小さな村で古樹茶が栽培されています。

南糯山の茶葉は総じて長め、かつ先端が緊密に締まっているのが特徴です。生普洱の茶湯は明るい黄金色。舌先まで滑らかな口感、蘭と蜂蜜の甘い香りを楽しむ事ができます。



「半坡寨古茶园」入口付近から山道を歩いて30分強。「南糯山茶王树」は茶園内最大の見所です。現存するのは1994年、元来「茶王树」と名付けられた樹齢800年以上の古樹が枯れた際にその名を引き継いだ2代目。こちらも樹齢800年と測定されています。正面にはその保全目的で2年前、政府主導にて設けられた茶館。夕方まで常駐、来訪者もここで中国茶を楽しむ事が出来ます。問い合わせ先は「南糯山茶王人家 南糯才记」との掲示



山の天然水と鉄器で入れて戴いた昨年、2018年の南糯山半坡寨新茶。生普洱ながら熟普洱の様な香りを感じ取ることが出来ます。



今年の新茶は昨年のものと比べて柔らかくまろやかな印象。山の天然水は必ず煮沸の上で飲用されます。


南糯山半坡寨古茶园
云南省西双版纳傣族自治州勐海县格朗和哈尼族乡南糯山村委会

南糯山茶王人家 南糯才记
電話番号: 135 7816 5917

次回「云南省茶旅特集 後編 では2020年世界遺産登録申請に向け、気運の高まる景迈山を訪問の予定です。

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